対談インタビュー③ 事業承継のベストタイミングとは?
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ボルブコンサルティング株式会社
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2025年2月、弊社のあとつぎ事業(事業承継)の第1号案件がクローズしました。50年もの歴史がある日本カーヴィング株式会社から殺菌乾燥機などの製造・販売事業を譲受し、弊社子会社であるミッケン株式会社で事業を引き継いでいます。
次世代へのバトンタッチを目的に行う事業承継はただのスタート地点。引き継いだ資産と、後回しになってきた課題をどう解決して、新たな目標に向かっていくかが重要です。事業承継後のリアルを通して、いま、または将来、事業承継を考えている方に伝えたいメッセージです。
前経営者の頭に入っているものをどう引き継ぐか

工藤
安井さんがよくおっしゃる「頭に全部入っているんだんよ」状態を把握するのが難しいですね。製造業の感覚というか、部品はこういうところに頼めばいいというのがない、設計もなんとなくこういうことだとここが壊れているんじゃないかとか、こういう素材を使ったら大丈夫じゃないかとか、というのが安井さんは感覚としてあると思うんですけれど、僕たちにはまだそれがない。
例えば修理依頼の問い合わせの電話がきたときとかに、「こうなんじゃないですかね」とか安井さんの頭に入っているものが残念ながらドキュメントとして残されていないので、それをいかに形として落としこんでいくか…。
あとは僕自身、キャリアとして長いのが動画とか広告とかなので、基板と、板金と、組立とか、取引先がめちゃくちゃ多いのを痛感しています。
安井
ものづくりはそこは結構大変だよね。そこを知っていないとね。
工藤
はい。「これもいるのか」「ねじ買わないとだめなのか」とか、「想像していた以上の部品を使っているんだな」とか。当たり前ではあるんですが、段ボールとか梱包資材とか、ここでお金がかかってくるのかとか...。クロネコヤマトも毎回サイズどれだっけとか。
営業面を強化しないと、事業はまわっていかないと思いつつ、でも人はいないから他のこともやらないわけにはいかない。事業承継前からいる社員の方が色々覚えてくれているので、助かっているんですが…。「いわれた通りにやります」みたいな社員さんだったら、結構いましんどいだろうなと思っています。色々柔軟に能動的に動いてくれるんです。
事業承継は売却側の準備が肝心

和田
もうちょっと大きな規模の事業承継はコンサル時代に関わらせてもらったんですけれど、それと中小企業の事業承継はまたちょっと違うなと思っています。中小企業庁とか経済産業省からガイドラインが出ていて見たんですけれど、その通りにいくわけでもないところもありますし...。
色んな事業承継のスタイルがあるので、やっぱり改めてケースバイケースで何がベストか考えながらやっていかないと、なかなか難しい。だから、事業承継といっても、繰り返し作業にはならないんだなと実感しました。
逆にそこをちゃんと事業承継元と事業承継先の間で、しっかり話すということが、一番大事なんだなと思っていて、そういうところはやっている立場として「買う側の立場」と、「コンサルタントとして会社にアドバイスしたい」みたいな気持ちが混ざりながら今回はやっていたんですけれど、連続性をもった承継のためには、「買う側の立場」により過ぎない方がうまくいくのではと感じています。売る側、買う側の対立構造ではなく、一緒にビジネスをどうすれば持続的に発展できるかを共に考えたい。毎回それが受け入れられるかはわかりませんが、そこは模索していきたいなと思いました。
事業承継について、他の案件もよく見るんですけれど、意外と「売る側」が売る準備ができていないことで、買いづらくなっているケースが多いと感じています。製品を売るときは、当然綺麗にして「こういう価値がありますよ」と売るじゃないですか。でも事業承継は土壇場にきてが多いので、会社の見え方を綺麗に整えられていない状態で売りに出していることが多いんですよね。
安井
それについては、私自身も遅すぎたと感じています。もうちょっと前にね、70歳手前くらい、60代に事業承継すればよかったという思いはあります。事業承継にも色々と意思決定は必要になってきますから。ただ私、お客さんを大事にするもんだから、今日やめますというのがなかなかできなくて、それでぐずぐず遅くなってしまったというのはあったんですけれど…。
ーそれでも事業を畳むのではなく、一部の事業を譲るという選択肢をとったのは?
安井
大事にしてきたお客さんを引き継いでほしいという思いがあったからですね。あとは、市場を見たときにポテンシャルのあるクリアレディ、クリアトイ、ベビーボトルの3製品を残せたことは創業者としては嬉しかったです。
和田
会社を売ることが目的で事業をやられている経営者はいないと思うので、そこの決断が非常に難しいとは思うんですけれど、いざ売るとなったら、やっぱりもっと整えて買い主側に見せていったほうが値付け的にも交渉の内容的にも、お互いwinwinになれる。本当はそこを仲介会社にやってほしいところがあるんですけれど。小規模事業の案件ではM&A仲介会社はそこまでやれないことが多いのではないでしょうか。ファイナンシャルアドバイザーみたいな感じでお金をもらって入れば、別なんでしょうけれどね。そこの課題解決として、我々のような会社が売り手の会社側にも寄り添った立場をとることで、できることがあるなと思っています。
<編集後記>
事業承継には売る側と買う側の物語があります。弊社のあとつぎ事業(事業承継)の第1号案件を通して、お互いがWinWinになるためのヒントを、皆さまに届いたられたらと思っています。
対談インタビュー①前経営者と語らうはこちらから
対談インタビュー②事業承継を経て経営者になるというキャリアはこちらから
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